七転び八起き / 2
ブログというものは不思議な魅力がある。
初めてブログを書き始めたのは高校 2 年生の頃だったと思う。 当時はバイト禁止の校則を破って、隠れてバイトをしていた。 その給料を貯めて一眼レフを買ってからというもの、毎日のように写真を撮っていた。
しかし、せっかく写真を撮っても、それを誰かに見せる手段がない。 そこで、気軽に始められた Google の Blogger に写真をアップロードして、それを見てもらおうという発想に至った。
大体、何かを始めるときは誰かに影響されて始めることが多い。 私の場合はそれが Hedi Slimane だった。彼の写真を見て、自分も写真を撮りたいと思った。
久しぶりにサイトを覗いてみたら、あの頃と全然変わっていない。 シンプルな UI もモノクロが際立つ写真のスタイルも。 それだけ、一貫したものを追求しているということなのだろう。
自分だけの小さなパッケージを世界に公開できるという体験が、とても新鮮で楽しかった。 今みたいに変にデザインにこだわることもなく、公開することに意味を感じていた。

その後、サイトのカスタマイズ沼にはまってしまい、ブログを書くことよりもデザインを変えることに時間を費やすようになってしまった。 今思えばそれがコードを書くきっかけになったので、良かったのかもしれないが、サイトの見た目を変えることが目的になると肝心のコンテンツが疎かになり、結局は面倒臭くなってサイトを閉じてしまった。
まさに本末転倒、目的と手段が入れ替わるという現象だ。
それから数年が経ち、またブログを書くことにした。 今度は表現することが動機ではなく、収益化したいという邪な考えが歪んだ情熱を生み出した。
WordPress という世界で一番有名な CMS を使って、アフィリエイトを始めた。 しかし、アフィリエイトは自分の好きなことを書けないし、収益化するためには SEO 対策という言葉遊びをしなければならない。
第一、アフィリエイトは陣取り合戦であり、今さら始めてもおこぼれを貰うことすら難しい状況であった。 そんなこんなで、目的が曖昧なまま、結局は自分が好きなことを好きなだけ書くことにした。
プログラミングやファッション、温泉や旅行など、自分が好きなことを好きなだけ書く。 そして、それを見てくれる人がいれば嬉しいというスタンスでブログを書き始めた。
今読み返すと、日記を世界に向けて公開しているようなものでとても恥ずかしくなるが、自己満足でも何かを作り出すスタンスの足元を固められた。 ただ、その恥ずかしさにちょっとだけ耐えられなくなり、恥ずかしながらブログは無期限で休止することにした。

それから数年が経ち、またまたブログを書くことにした。 この流れからして、再びブログを投げやってしまう姿が眼に浮かぶと思うがそのとおりである。
そうではあるが、今度は動機が違う。 今まではコンテンツを公開することが目的だったが、今度は自分で自分が書きやすいシステムを作ろうと思った。
当時は Gatsby.js という React ベースの静的サイトジェネレータが流行っていた。 とにかく表示スピードが早くて UI のカスタマイズもできるし、マークダウンで記事を書けるということで、早速ブログを作り始めた。
サイト自体は満足できる形で完成したが、それだけに記事の質を上げなければならないという馬鹿げたプレッシャーが生まれた。 高級そうな包み紙の中に安物の肉が入っていたら、がっかりすると思うがその状況を自分で作り出してしまったと思い込んでいたのだ。
結局、記事を書くことが億劫になり、サイトを閉じてしまった。 Gatsby の素晴らしさを知ったのは良かったが、それ以外は全てが失敗だった。
それから数年が経ち、またまたまたブログを書くことにした。 それがこのサイトである。
今までのブログ遍歴をまとめると以下のようになる。
ID | 作成方法 | 失敗理由 |
---|---|---|
1 | Blogger | デザインにこだわりすぎてコンテンツが疎かになった |
2 | WordPress | アフィリエイトを始めたが、自分の好きなことを書けないというジレンマに陥った |
3 | Gatsby.js | 記事の質を上げないといけないというプレッシャーが生まれた |
よって、今度は以下のようなルールを設けることにした。
- デザインは最低限にする
- 自分の好きなことを書く
- 記事の質は気にしない
そうすれば、長続きするのではないかと思う。
とは書いてみたものの、いずれのルールも守れそうにない。 また、同じ失敗を繰り返す愚かな人間になるのだろう。 それでも、ブログの不思議な魅力に取り憑かれているうちは、駄文をつらつらと書き続けて醜態を晒していくスタイルを貫きたい。